NHKスペシャル「微笑と虐待」

NHKスペシャル 11月17日 午後10時〜

イラクアブグレイブ刑務所における、アメリカ兵によるイラク人捕虜への虐待をめぐる事件。
「7つの腐った林檎」と称され、軍事法廷にかけられた7人のアメリカ兵男女。
彼等が行ったイラク人への虐待は、何枚かの写真によって世間に知れ渡ることとなった。
その写真の中で全裸のイラク人の前で、煙草を吸いながら微笑する女性。
イラク人の首に首輪をかけて笑う。
その、数々の虐待の真相を、インタビューを通して明らかにしていった。

とても、見応えがあった。
NHK独自の取材であったのが、すごいと思う。
虐待の女王と称された彼女の出所後初のインタビューであったり。

写真で見るものが全てではない。
写真はその一瞬を切り取っただけのもの。
しかし、それと同時にその瞬間は確実に起こったことであるということ。
ただ、どんな角度からそれを見るかによって印象はまったく異なるのだと。

今回のこの事件に関していえるのは、アメリカ政府は虐待のことなど黙認していたということ。
虐待があることなんてわかっていた。
だから、内部告発など本当は邪魔でしょうがなかった。
ラムズフェルト内部告発者の名前をテレビの前で伝えたのは、わざとだと思う。
名前が知られたあと、その内部告発者がどんな目に遭うのかなんてことはわかりきってたはずだ。

最後の女性兵士のインタビューが全てを語っていた。

これらの事件が起こった当初、私はどう感じていたのだっけ。
たしか、普通に「ひどい」と感じていたはず。
アメリカ人兵士はイラク人のことなどこれっぽちも考えていないし、精神的に追いつめられているのだろう、と。
それはきっと事実だと思う。
誰が悪いのか?
それを問いつめるだけじゃ何の意味もないだろう。
けれど、7人の兵士を軍事法廷にかけ、全ての罪を彼等にかけようとした政府のやり方はなんて汚いのだろう。
彼等に指示をしたのは誰だよって話。
見せしめに彼等に罪を与え、テレビで放送させ、悪者を認識させる。
そんな見せかけのニュースにだまされてはいけないんだ。

それが一番恐ろしいことだと思う。
情報、一枚の写真と同じで、見る角度によって全く意味が変わってしまう。
これは日頃のニュースでも感じるが。
きっと、この虐待事件が日本で報じられていたときに、アメリカ政府の本当の意味での責任を感じられた人はそんなに多くないんじゃないかと思った。
きっと興味がある人や、よく調べてる人はそう思っていたんでしょうが、私のようないち女学生がそこまで考えられるかというと無理だと思う。

そういった意味からも、今回のNHKスペシャルはとても勉強になる。
こんな切り込み方をできるのは、やっぱりNHKだけじゃないのかな。
民放でこんな番組やってるの見たことね。(たぶんww)