あの頃の私は

いつだってそこに居たのは何にもなりきれない自分
アイデンティティも個性もキャラクターも何も確立されていない自分
ただそこに居たのはそんな自分が大嫌いな自分
いつもいつも好きな音楽を聴きながら電車から外を見つめていた
私は何を考えていたのかな
どこまでも続く田んぼや畑が広がる田舎の風景を見ながら
ただ自分の存在が虚しかったのかな
肌の水分がどんどん蒸発していってミイラになって
そのまま砂になって風に飛ばされてしまいたい
そう願っていた

あの頃と比べて今の私は成長できたのかな
あの頃の強い強い孤独感は最近は感じなくなった
あきらめというか、変な余裕が少しばかり出来たからだろう
でも信じられる何かとか
心から好きと思える何かは相変わらず見つかっていないし
アイデンティティも個性も何も得ていない
本当の私はどこにいるのか
どの私も嘘ではないけど本当の私ではない
今の私がきっと本当の素の私に近いはずなのだけど
全くわからない
私は私なのに
自分なのに自分のことなのにわからない
生きることも死ぬことも等価値ならば
生きることも死ぬことも無価値
私は私なんて人間知らない